製品名、作物、病害虫や雑草名で検索できます。
HOME > 最新技術情報 > ミニ病害図鑑
最新技術情報

ミニ病害図鑑

2018年4月4日

大切な作物を病害から守ることに、多くの生産者の方が苦労されていると思います。
病害防除のため農薬(殺菌剤)を使用する際には、薬剤の種類によって有効な病害は異なることから、対象の病害を見極め適切な殺菌剤を選択することが重要です。
病害の適切な防除にお役立ていただけるよう、ミニ病害図鑑を公開いたします。
主要な病害ごとに病徴、伝染方法、農薬も含めた防除方法、どのような条件で発生しやすいか(気温・湿度)をまとめました。
中には同じ病害名なのに作物によって原因病原菌が異なるものもありますので、薬剤選択の際にお役立ていただければ幸いです。

べと病

病害名 作物 病原菌
べと病 キュウリ、スイカ、メロン、カボチャ Pseudoperonospora cubensis
ハクサイ、キャベツ Peronospora brassicae
レタス Bremia lactucae
ネギ、タマネギ Pernospora destructor
ホウレンソウ Peronospora spinaciae
ミツバ Plasmopara mivea
病  徴
作物ごとに病原菌が異なる。葉で淡褐色の斑点を生じ、拡大すると葉脈に囲まれた黄色〜褐色の角型病斑になる。多湿条件で葉裏に暗灰色のカビを生じる。
伝染方法
罹病葉の卵胞子で越冬すると考えられている。遊走子のうが風で飛散して伝染。水滴で遊走子が出現し、気孔から感染。湿度が高く樹勢の衰えた時に発生しやすい。
防除方法
過湿をさけ、肥培管理に努める。発病初期を見逃さず、薬剤防除する。

べと病に登録のある主な当社薬剤

  • ライメイフロアブル
    *上記作物のうち、キュウリ・メロン・カボチャ・ハクサイ・キャベツ・レタスのべと病に登録があります(2018年2月現在)。
  • ホライズンドライフロアブル
    *上記作物のうち、キュウリ・メロン・ハクサイ・タマネギのべと病に登録があります(2018年2月現在)。
  • ダイナモ顆粒水和剤
    *上記作物のうち、キュウリ・ネギ・タマネギのべと病に登録があります(2018年2月現在)。
低温多湿
べと病(キュウリ)の被害

べと病(キュウリ)の被害

べと病(ハクサイ)の被害

べと病(ハクサイ)の被害

疫病、褐色腐敗病

病害名 作物 病原菌
疫病 キュウリ Phytophtora meronis
スイカ Phytophtora drechslei
メロン、イチゴ Phytophtora nicoitanae
トマト、バレイショ Phytophtora infestans
カボチャ Phytophtora capsici
褐色腐敗病 スイカ
カンキツ Phytophthora palmivola
病  徴
作物ごとに病原菌が異なるが作物を共有する菌もあり、別作物からの飛び込みもある。葉に暗褐色の大型病斑を形成し葉裏にカビ(遊走子のう)を多数形成する。茎には水浸状の病斑を作り、細くくびれて上部の茎葉は萎凋・枯死する。果実には水浸状の病斑に白粉状のカビが生じ、腐敗する。
伝染方法
ばれいしょは掘り残しのいも(野良いも)で越年。翌年いもの発芽とともに発病。病斑の遊走子のうが風で飛散し、18℃以下の低温で葉上などの水滴に遊走子が遊泳して感染。地温が18℃以下になると塊茎腐敗となる。排水が悪い圃場は浸水、冠水した圃場で多発。
防除方法
発病前の予防薬剤散布が重要。排水を良くする。被害残渣の処分。

疫病・褐色腐敗病に登録のある主な当社薬剤

  • ライメイフロアブル
    *上記作物のうち、トマト・バレイショ・カボチャの疫病、スイカの褐色腐敗病に登録があります(2018年2月現在)。
  • ホライズンドライフロアブル
    *上記作物のうち、トマト・バレイショの疫病、スイカの褐色腐敗病に登録があります(2018年2月現在)。
  • ダイナモ顆粒水和剤
    *上記作物のうち、トマト・バレイショの疫病に登録があります(2018年2月現在)。
低温多湿
疫病(トマト)の被害

疫病(トマト)の被害

疫病(バレイショ)の被害

疫病(バレイショ)の被害

灰色かび病、灰色腐敗病、葉枯病、白斑葉枯病

病害名 作物 病原菌
灰色かび病 キュウリ、カボチャ、トマト、ナス、ハクサイ、レタス、タマネギ、イチゴ、大豆、小豆、菜豆 Botrytis cinerea
灰色腐敗病
葉枯病
白斑葉枯病
タマネギ Botrytis alli
Botrytis squamosa
Botrytis byssoidea
Botrytis tulipae
病  徴
多くの作物に感染するので別作物畑から飛び込みあり。葉に褐色の病斑が形成されることが多く、後に円形の灰褐色大型病斑になる。花弁の付着・落花した部分で灰褐色に腐敗し、幼果は花落ち部から発病して水浸状に軟化・腐敗し、灰色のカビが生える。成熟した果実に黄白色の斑点(ゴースト・スポット)を生じる場合もある。
伝染方法
被害植物上の菌糸や土中の菌核から分生子が飛散し、伝染する。湿度が高いときに胞子形成し、感染。乾燥時に胞子を飛散させて蔓延する。
防除方法
発生初期の薬剤防除。耐性菌が出やすいので薬剤系統別のローテーションが必要。作物残渣でも胞子を形成するため、圃場の清掃をすること。

灰色かび病に登録のある主な当社薬剤

  • ネクスターフロアブル
    *上記作物のうち、キュウリ・ナス・レタス・イチゴの灰色かび病に登録があります(2018年2月現在)。
20℃ 多湿-乾燥
灰色かび病(キュウリ)の被害

灰色かび病(キュウリ)の被害

灰色かび病(トマト)の被害

灰色かび病(トマト)の被害

うどんこ病

病害名 作物 病原菌
うどんこ病 キュウリ、スイカ、メロン、カボチャ Sphaerotheca fuliginea
トマト、ナス Erysiphe cichoracearum
ニンジン Erysiphe heraclei
イチゴ Sphaerotheca humuli
病  徴
作物ごとに病原菌が異なる。植物上でしか生きられない絶対寄生菌。葉の表面に白色の小斑点を生じ、やがてうどんこ状のカビを生じ、葉全体が白い粉をふりかけたような状態になる。葉の表面、裏面に黄色〜黒色の小斑点(子のう殻)を形成する。
伝染方法
降雨が少なく、乾燥し冷涼な気象が続くと多発する。分生子が風で飛散して伝染。ハウス栽培で多発する。
防除方法
発生初期に薬剤防除する。耐性菌対策のため、同一系統の薬剤を連用しないこと。

うどんこ病に登録のある主な当社薬剤

  • ネクスターフロアブル
    *上記作物のうち、キュウリ・メロン・トマト・ナス・イチゴのうどんこ病に登録があります(2018年2月現在)。
20℃-25℃ 乾燥
うどんこ病(トマト)の被害

うどんこ病(トマト)の被害

菌核病

病害名 作物 病原菌
菌核病 キュウリ、スイカ、メロン、トマト、ナス、ハクサイ、キャベツ、レタス、バレイショ、大豆、小豆、菜豆 Sclerotinia sclerotiorum
病  徴
多くの作物に感染するので別作物畑から飛び込みあり。茎の地際部や葉柄の付け根に水浸状の病斑が現れ、一部の茎葉が萎れる。白色のカビを生じ、軟化・腐敗する。果実では花落ち部から発病し、果実へ発病が進展する。カビ上に黒色菌核を形成する。
伝染方法
植物残渣に菌核あるいは菌糸で越年し、次年度の伝染源となる。低温・多湿時に菌核から生じた子のう盤(キノコ)上の子のう胞子が飛散して伝染。
防除方法
発病初期の薬剤防除。ハウスではマルチを行い子のう盤の形成を防ぐ。

菌核病に登録のある主な当社薬剤

20℃ 多湿
菌核病(キュウリ)の被害

菌核病(キュウリ)の被害

炭そ病

病害名 作物 病原菌
炭そ病 キュウリ、スイカ、メロン Colletotrichum lagenarium
イチゴ Colletotrichum spinaciae
菜豆 Colletotrichum lindemuthianum
病  徴
作物ごとに病原菌が異なる。葉・茎・果実に発生。葉には黄褐色の円形病斑を形成し、破れて穴が開く。茎や果実には黄褐色のくぼんだ病斑をつくる。多湿条件で鮭肉色の粘質物質をつくる。
伝染方法
第一次伝染源は罹病種子であることが多い。播種後、子葉で発病し、被害植物上の菌糸・分生子が伝染源で、降雨により周囲に広がる。露地栽培での発生が多い。分生胞子は飛散しないで水滴とともに感染。
防除方法
畑の排水を良くする。発病初期の薬剤防除。

炭そ病に登録のある主な当社薬剤

低温 多湿
炭そ病(キュウリ)の被害

炭そ病(キュウリ)の被害

根こぶ病

病害名 作物 病原菌
根こぶ病 ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、その他 アブラナ科野菜全般 Plasmodiophora brassicae
病  徴
土壌中では7年以上生存可能な耐久性のある休眠胞子から遊走子を発生し感染。根に発生し、株全体が萎凋する。晴天の日中は萎れ、朝夕は回復するが次第に回復しなくなる。根部にこぶを形成し、収穫期には腐敗する。
伝染方法
土壌中に休眠胞子があり、栽培が始まると発芽し、根毛感染、皮層感染を経てこぶを形成。内部には多くの休眠胞子を形成し、土壌中に拡散する。土壌のpHが低いと発病が激しく7.2以上では抑制される。土壌湿度が高く、日長時間が長いと発病も多い。
防除方法
連作をさけ、植付前に薬剤処理を行う。酸性土壌ではpHを中性にすること。

根こぶ病に登録のある主な当社薬剤

*ご使用いただける作物は各薬剤の適用表をご覧になってご確認ください。

低温-高温 多湿
根こぶ病(ハクサイ)の被害

根こぶ病(ハクサイ)の被害

輪紋病、褐斑病、円星病、夏疫病、黒斑病、斑点落葉病

病害名 作物 病原菌
輪紋病 トマト Alternaria solani
褐斑病 ナス
円星病 トウガラシ
夏疫病 バレイショ
黒斑病 ハクサイ、キャベツ Alternaria brassicae
ネギ、タマネギ Alternaria porri
ニンジン Alternaria radicina
斑点落葉病 リンゴ Alternaria mali
病  徴
作物ごとに病原菌が異なる。ナス科作物では病名は異なるが、同一の病原菌であり別作物畑から飛び込みあり。葉には暗褐色・水浸状の小斑点から、緑褐色の大型同心円状輪紋斑を形成する。茎・葉柄・果柄・果実にも同様の輪紋病斑をつくる。病斑にはビロード状のカビが生える。
伝染方法
被害残渣中で胞子あるいは菌糸の形で生存し、次年度の伝染源となる。病斑から分生子が飛散して伝染し、比較的乾燥条件で発生する。
防除方法
種子消毒。発病前の薬剤防除。

黒斑病・斑点落葉病に登録のある主な当社薬剤

  • ネクスターフロアブル
    *上記作物のうち、ハクサイの黒斑病、リンゴの斑点落葉病に登録があります(2018年2月現在)。

夏疫病に登録のある主な当社薬剤

高温 乾燥
夏疫病(バレイショ)の被害

夏疫病(バレイショ)の被害

黒斑病(ハクサイ)の被害

黒斑病(ハクサイ)の被害

軟腐病

病害名 作物 病原菌
軟腐病 ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、ダイコン、ニンジン、バレイショその他野菜全般 Erwinia carotovora
病  徴
多くの作物に感染するので別作物畑から飛び込みあり。淡褐色で水浸状の病斑を形成し、軟化腐敗させる。傷口より感染するため、作物により発生しやすい発病部位がある。軟腐病特有の臭気を放つ。収穫後に市場で腐敗する市場病害としても重要な病害。
伝染方法
病原菌は広範に存在するため、作物の傷があれば感染できる。その後の好適な環境条件により発病、蔓延。発病には多湿、降雨が必要。多肥栽培で増加。
防除方法
作物に農作業で傷をつけない。肥培管理に注意。殺菌剤散布と微生物農薬の利用。

軟腐病に登録のある主な当社薬剤

低温-高温 多湿
軟腐病(ハクサイ)の被害

軟腐病(ハクサイ)の被害